宝石・貴金属

宝石・貴金属を扱う古物商の注意点
犯収法の上乗せ義務とは

宝石・貴金属を扱う古物商の犯罪収益移転防止法上の義務を解説するOGP画像

宝石・貴金属は高額取引になりやすく、古物営業法だけでなく、犯罪収益移転防止法(犯収法)に基づく確認・記録・届出が関係する品目です。

ブランド時計やジュエリーを含む高額品の一般的な注意点はブランド品を扱う古物商の注意点、古物営業法上の確認方法は古物商の本人確認の基本で解説しています。許可上の区分は時計・宝飾品類など古物13品目をご確認ください。

犯収法の要点

  • 対象は金・白金・銀、宝石、真珠とこれらの製品です。
  • 200万円を超える現金取引等では取引時確認が必要です。
  • 確認記録・取引記録は7年間保存します。
  • 取引記録と疑わしい取引の届出は200万円以下でも関係します。

犯収法の対象となる「貴金属等」とは

宝石・貴金属等の売買を業として行う事業者は、犯収法上の特定事業者に該当します。対象となる「貴金属等」は、次のものとその製品です。

  • 貴金属:金、白金、銀およびこれらの合金
  • 宝石:ダイヤモンドその他の貴石・半貴石および真珠
  • これらの製品:指輪、ネックレス、時計、工芸品など、対象素材を用いた製品

「時計・宝飾品類」という古物区分と、犯収法上の「貴金属等」の範囲は同じ概念ではありません。素材や商品の性質から個別に判断し、詳細は経済産業省・警察庁の最新案内や専門家へご確認ください。

200万円を超える現金取引で取引時確認が必要

貴金属等の売買契約で、代金の支払いが現金で200万円を超える場合は、犯収法上の特定取引として取引時確認が必要です。現金以外の支払方法については取引時確認の対象から除かれる場合がありますが、取引記録や疑わしい取引の届出など別の義務は残り得ます。取引形態により異なるため、個別の扱いは経済産業省・警察庁の案内や専門家へご確認ください。

意図的な分割も一つの取引として扱われる

一回当たりの金額を200万円以下にするため、一つの取引を意図的に分割していることが一見して明らかな場合は、分割分を一つの取引とみなします。たとえば同一商品の代金を複数回に分けるなど、形式だけで基準を回避することはできません。

宝石・貴金属等取扱事業者に関係する4つの義務

犯収法上の主な義務は次の4つです。ただし、すべてが「200万円超の現金取引だけ」に限定されるわけではなく、義務ごとに適用範囲が異なります。

  1. 取引時確認
    特定取引等において、本人特定事項、取引目的、職業、法人の場合は事業内容・実質的支配者などを確認します。
  2. 確認記録の作成・保存
    取引時確認を行った場合、その内容を記録し、7年間保存します。
  3. 取引記録の作成・保存
    貴金属等の売買業務に係る取引の日付、種類、価額、移転元・移転先などを記録し、7年間保存します。200万円以下の取引でも対象です。
  4. 疑わしい取引の届出
    犯罪収益の疑いなどがあると判断した場合、速やかに所定の届出を行います。金額が200万円以下でも対象となる場合があります。

届出を行おうとしていることや、届出を行ったことを顧客や関係者へ漏らすことは禁止されています。具体的な判断や届出方法は、経済産業省・警察庁の案内に従ってください。

【重要】犯収法は7年、古物台帳は3年

犯収法上の確認記録と取引記録は7年間保存します。一方、古物営業法上の古物台帳は、帳簿の最終記載日から3年間保存するのが基本です。

制度記録保存期間
犯罪収益移転防止法確認記録・取引記録7年間
古物営業法古物台帳・これに準ずる記録最終記載日から3年間

同じ取引を一つのシステムで管理していても、3年経過時に犯収法上必要な記録まで削除しないよう注意してください。古物台帳の記載事項と保存期間は古物台帳の基本ルールで解説しています。

ハイリスク取引ではより厳格な確認が必要

なりすましの疑いがある取引、過去の確認時と異なる情報を用いる取引など、マネー・ローンダリングに利用されるおそれが高い取引では、通常より厳格な本人特定事項の確認が必要です。

さらに、ハイリスク取引が200万円を超える財産の移転を伴う場合には、源泉徴収票、預貯金通帳などにより、顧客の資産・収入状況を確認することが必要となる場合があります。対象となる取引類型や確認書類は法令改正の影響を受けるため、最新のJAFIC資料や専門家へご確認ください。

古物営業法の本人確認とは別の義務

古物営業法と犯収法は別の法律です。古物の買受けでは、古物営業法に基づき取引相手の住所、氏名、職業、年齢を確認し、対象取引を記帳します。ただし古物営業法には、対価総額1万円未満の一般取引について本人確認・記帳を免除する規定があり、一部の例外品目を除いて金額にかかわらず必要というわけではありません。

宝石・貴金属等について200万円を超える現金売買を行う場面では、古物営業法上の本人確認・記帳に加え、犯収法上の取引時確認、確認記録、取引記録などが上乗せされます。確認項目や保存期間を一つの制度だけで処理しないことが重要です。

これから古物商許可を取得する方は古物商許可を自分で取る方法もあわせてご覧ください。

まとめ

  • 犯収法上の貴金属等は、金・白金・銀とその合金、貴石・半貴石・真珠、およびこれらの製品です。
  • 200万円を超える現金取引等では取引時確認が必要で、明らかな分割取引は一つとみなされます。
  • 取引時確認、確認記録、取引記録、疑わしい取引の届出は、それぞれ適用範囲を確認します。
  • 犯収法の確認記録・取引記録は7年、古物台帳は最終記載日から3年保存です。
  • 200万円以下でも取引記録の作成・保存や疑わしい取引の届出が関係します。

古物商許可の申請手数料や取得後の費用は、古物商許可の費用の内訳をご確認ください。

よくある質問

宝石・貴金属を扱うと必ず犯収法の義務が発生しますか?

貴金属等の売買を業として行う事業者には、犯収法上の取引記録作成・7年間の保存や、疑わしい取引の届出が関係します。取引時確認と確認記録は、200万円を超える現金取引や特別な注意を要する取引などが対象です。義務ごとに適用範囲が異なるため、詳細は経済産業省・警察庁の案内や専門家へご確認ください。

犯収法の記録は何年保存しますか?

犯収法上の確認記録と取引記録は7年間保存します。古物営業法上の古物台帳を最終記載日から3年間保存する義務とは別の制度であり、短い方へ統一しないよう注意してください。

200万円を超えなければ何もしなくていいですか?

いいえ。金額を減らす目的で一つの取引を分割したことが明らかな場合は、一つの取引とみなされます。また、200万円以下でも特定業務に係る取引記録の作成・保存が必要で、疑わしい取引の届出対象となる場合があります。

古物営業法の本人確認と犯収法の確認は別々に必要ですか?

別の法律に基づく義務です。200万円を超える貴金属等の現金売買では、古物営業法上の本人確認・記帳に加え、犯収法上の取引時確認や記録作成等も必要になります。それぞれの確認事項と保存期間を分けて管理してください。

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監修者:特定行政書士 竹内 聡貴(たけうち としたか)

タケウチ行政書士事務所 代表。日本行政書士会連合会 登録番号19260966号/大阪府行政書士会 会員番号007757号(旭東支部所属)。特定行政書士として、建設業許可・古物商許可・在留資格・補助金申請など幅広い許認可業務に対応。

事務所サイト:https://office.take.osaka.jp/

本記事は一般的な情報提供を目的としています。犯収法・古物営業法上の義務は、商品、金額、支払方法、取引形態、顧客属性、個別事情により異なります。最新情報と具体的な対応は経済産業省、警察庁、管轄警察署および専門家へご確認ください。